がんの治療は終わり、検査の数値も落ち着いている。
病院でも「もう大丈夫ですね」と言われた。
それでも、なんとなく本調子ではない。そのような感覚はありませんか?
がんの治療後は、
・治療によるダメージ
・栄養状態の変化
・免疫の回復途中
といった理由から、「自分の身体を守る力」が,まだ回復途中 になっていることがあります。
そのため、
「治療前は平気だったのに、冬になると体調を崩しやすい」
「感染症が心配で、外出が不安になる」
と感じる方も少なくありません。
特に冬は、空気の乾燥や寒さによって、鼻やのどの粘膜が弱りやすくなります。
この記事では、
がん治療後で身体が本調子でない中、冬を安心して過ごすために意識したいケア
について、できるだけわかりやすく お伝えしていきます。
がん治療中・治療後に身体に起こる変化とは?
がん治療を行うと、体重が減少する方が多いです。
それは、がんそのものによる代謝異常、手術による体の反応、抗がん剤治療による副作用などが原因で起こります。
がん細胞、免疫担当細胞が分泌するサイトカインが引き起こす代謝異常も考えられます。
手術を受けると、手術の侵襲によるもの、傷が治っていく過程で代謝が影響を受けるため、エネルギーと栄養を補給する必要があります。
また、治療による副作用で下痢が起こると、栄養の吸収が落ち、栄養状態が悪くなることがあります。
栄養状態が悪いと、感染しやすい理由
私たちの身体には、ウイルスや最近が体内に入らないよう、いくつもの防御ラインを持っています。
特に重要なのが、鼻やのど、口に中にある粘膜です。
感染症の多くは、この粘膜を突破できるかどうかで決まります。
冬は
・空気の乾燥
・寒さによる血流低下
・暖房による乾燥
などが重なり、粘膜がダメージを受けやすくなります。
治療後で回復途中にある身体にとって、冬は特に感染しやすい時期なのです。
感染症から身体を守る仕組みと、必要な栄養素とは?
感染症から身体を守る仕組みは、いくつかの防御ステップに分かれています。
それぞれに必要な栄養素も、変わってきます。
それぞれのステップで、特に必要となる栄養素をご紹介します。
① 粘膜層でウイルスをブロック
粘膜は、身体を守るバリア機構の入り口です。
表面はムチン(ネバネバのタンパク質)という膜で守られており、ムチンがしっかりと粘膜を覆っていれば、ウイルスはムチンと一緒に排出されます。
また、粘膜にはIgA抗体という免疫グロブリンの一種が分泌されており、ウイルスを捕まえて侵入を防ぎます。
粘膜が乾燥すると防御機構として働かず、ウイルスが付着しやすくなるため、季節や湿度にかかわらず粘膜がしっかり濡れている状態が大切です。
タンパク質は、ムチンの材料となる栄養素です。また、IgA抗体の主成分も、タンパク質です。
ビタミンAは粘膜を作るのに欠かせない栄養素の一つで、粘膜細胞の分化や成長に関わっています。
亜鉛は粘膜を作るのに必要です。ビタミンAを活性型にするのにも亜鉛は必要です。
【必要な栄養素】
・タンパク質
・ビタミンA
・亜鉛
・グルタミン
② 粘膜細胞の結び目を固くして、ウイルスをブロック
粘膜表面の細胞同士は、「タイトジャンクション」という結合で隙間なく並んでいます。
ここが弱いと、ウイルスが簡単に入り込んでしまいます。
粘膜細胞の結合タンパクを誘導し、粘膜バリアを強化するのがビタミンDです。
【必要な栄養素】
・ビタミンD
③ 抗菌タンパクで、ウイルスをブロック
ウイルスが接触すると、身体は抗菌タンパクを分泌し、感染を阻止します。
このタンパク合成に、ビタミンDは重要です。
【必要な栄養素】
・ビタミンD
血中ビタミンD濃度が低い方が摂取すると、呼吸器感染症リスクの低減が示唆されています。
④ 感染初期の炎症を、素早く食い止める
ウイルスが細胞内に侵入すると、まず局所で炎症が起こります。そして次第に全身へ広がります。
炎症が起こったとき、白血球の働きを助けるのがビタミンCです。
これまでの流れをまとめると、このような図になります。

腸管免疫を強くする
腸は免疫細胞の60%が存在し、腸内環境が悪いと感染症全般に弱くなります。
基礎的な免疫機能を維持するためにも、腸内環境を普段から整えておくことは重要です。
【必要な栄養素】
・乳酸菌(プロバイオティクス)
・食物繊維(プレバイオティクス)
感染時の体力を維持し、リカバーする
感染時はエネルギー需要が増えます。
エネルギー代謝のサポート、疲労回復に関わる栄養も合わせて取っておくと、安心です。
【必要な栄養素】
・ビタミンB群
まとめ
治療が終わった後も、身体のケアは続いていきます。
「以前と同じようにできない」
「思うように回復しない」
と感じて、不安になることもあるかも、しれません。
今の身体は一生懸命、整い直している途中です。
「まだ本調子ではない」
そう感じている今こそ、無理のないペースで整えていくことが大切です。
この記事が、術後で身体が本調子ではない時の感染予防を考える、ヒントの一つになれば幸いです。

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