リンパ浮腫予防にセルフドレナージは必要?今の考え方をやさしく解説

リンパ浮腫を予防したい。そのために

「セルフドレナージは、行ったほうがいいですか?」

この質問は、よく受けます。

がんの手術後の方にとって、リンパ浮腫を発症するかしないかは、非常に気になることです。

ただ、近年はリンパ浮腫のセルフケアに対する考え方も、少しづつ変わってきています。

今回は、リンパ浮腫予防のために、セルフドレナージは必要なのか?

そして、無理なく続けられる、セルフケアの考え方について、お話ししています。

目次

リンパ浮腫予防のために、セルフドレナージはしたほうがいい?

以前は、リンパ浮腫の予防や、セルフケアの一環として、セルフドレナージが勧められる事が多くありました。

現在も、病院や施設によっては、指導されているかと、思います。

そのため、セルフドレナージを行っており、毎日続けている方も少なくありません。

一方で、

リンパ浮腫予防のために、必ずセルフドレナージを行ったほうがいいとは、言い切れない。

という流れにも、なってきています。

近年は、セルフドレナージの予防効果を強く勧めない流れ

近年、セルフドレナージについては、

「予防のために全員へ強く勧めるだけの根拠は、十分ではない」

と、考えられるようになってきています。

日本リンパ浮腫学会のガイドラインでも、予防目的のセルフケア全体はC1(行ってもよいが、十分な根拠はまだ多くない)とされ、セルフリンパドレナージについても、予防目的で積極的に推奨する形にはなっていません。

がん研有明病院の宇津木先生らの前向き研究では、婦人科がん手術後の患者さんを対象に、セルフドレナージを行った群と行わなかった群を5年間追跡しています。

その結果、リンパ浮腫の発症率に有意差は見られなかった、と報告されています。

ただし、ここで大切なのは、

「セルフドレナージは意味がない」

ということでは、ありません。

国際リンパ学会(ISL)のコンセンサスでも、セルフケアやリスク軽減の工夫は、むくみの管理に役立つ一方で、厳密な研究はまだ十分ではない、と整理されています。

合わせて、患者教育としては、自己チェック、スキンケア、セルフマッサージ、体重管理、運動なども大切な要素とされています。

つまり、今の流れとしては、

「セルフドレナージを絶対にやるべき」とまでは言えない。

でも、身体に触れることで浮腫の状態を確認したり、自分にあうケアを続けることは意味がある。」

という考え方が、より自然なのではないかと思います。

セルフドレナージに、意味がないわけではない

個人的には、セルフドレナージは

「しっかり流すために行う」

というよりも、

「身体に触れて自分の状態を確認する」

ことに意味があると感じています。

リンパ浮腫は、日によって状態が変わる事があります。

・いつもより重い
・少し張っている
・熱っぽさがある
・なんとなく違和感がある

触れることで、そういった小さな変化に早く気づくことは、とても大切です。

保湿のついでに優しく触れる、それでも意味がある

セルフドレナージと聞くと、

「きちんとやらなければ」
「毎日時間をとって、しっかり行わなければ」

このように、思ってしまう方もいらっしゃいます。

でも、そこまで頑張らなくても、いいのです。

例えば、保湿をするときに優しく撫であげる。その時に、皮膚の状態やむくみの具合を確認する。

それだけでも、十分意味があります。

セルフケアを「頑張るケア」として考えるより、「身体の状態を知るための、優しいケア」として、捉えるほうが続けやすいのではないでしょうか。

セルフドレナージで変化を感じる方は、続けてよい

もちろん、自分でドレナージを行うことで

・脚が軽く感じる
・ハリ感が和らぐ
・安心できる
・ケア後の方が過ごしやすい

その場合は、無理のない範囲で続けてよいと思います。

大切なのは

「やるべきだからやる」ではなく、「自分にあっているから続ける」

ということです。

自分にとって負担が少なく、続けやすい形を見つけることが、大切です。

セルフドレナージがストレスになるなら、無理に続けなくてもいい

セルフドレナージをする事が、ストレスになっている。
やらなきゃと思うたびに、気持ちが重くなる。
疲れているのに、無理して続けてしまう。
セルフケアのせいで、寝る時間が遅くなってしまう。

そのような状態であれば、無理に行わなくてもよい、と思っています。

リンパ浮腫のケアは、短距離走ではなく、長く続いていくものです。

だからこそ、生活の中で無理なく続けられることの方が、大切です。

セルフドレナージを頑張りすぎて疲弊するのであれば、その時間を休息や睡眠に回した方がよいこともあります。

リンパ浮腫予防で大切なのは、日常を整えること

リンパ浮腫予防や悪化予防のために大切なのは、セルフドレナージだけではありません。

皮膚を乾燥させないこと
炎症を起こさないように、気をつけること
無理をしすぎないこと
疲れを溜め込まないこと
違和感に早めに気づくこと
必要な時に相談すること

このような日常の積み重ねは、とても大切です。

まとめ:セルフドレナージは「無理なく」が大切

リンパ浮腫予防のために、セルフドレナージをしたほうがいいのか?

「全員が無理してまで続ける必要はない」

というのが、私の考えです。

セルフドレナージで変化を感じる方は、続けてよい。
負担になっているなら、無理に頑張らなくてもよい。

そして、身体にやさしく触れて、自分の状態を知ることには、意味があります。

保湿ついでに撫でるだけでも、十分価値があります。

大切なのは、

・頑張りすぎないこと
・続けられる形にすること
・自分に合ったケアを選ぶこと

リンパ浮腫のセルフケアは、完璧にやることが目的ではありません。

無理なく続けながら、毎日を少しでも心地よく過ごせることが、大切だと思います。

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営業時間 9:00〜18:00(最終受付16:30)
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東京都府中市紅葉丘3-47-53
070-5460-2569

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この記事を書いた人

牧原 広実のアバター 牧原 広実 理学療法士、リンパ浮腫保険診療士

愛知県蒲郡市出身。
理学療法士21年目。
日本リンパ浮腫学会所属。リンパ浮腫保険診療士。
リンパ浮腫の患者さんとの出会いをきっかけに、むくみの勉強を始める。
むくみ専門クリニック、弾性着衣メーカーの勤務経験あり。
むくみのケア、慢性的な痛みのアプローチが得意。

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